銭湯を愛する京都の人が思うこと


【常連さん、銭湯初心者に優しくして/slow news/想い、思い。/京都・御池】

新聞に「銭湯初心者に優しくして」という記事がありました。中京区にある「玉の湯」の店主が、常連客に向けて、一見さんや観光客にマナー違反があっても厳しく叱責せずに優しく注意してほしいという趣旨の貼り紙をしたところ、ネットで話題になっているという内容でした。

一時期、京都市内の銭湯巡りをしていたことがありました。歩いていて煙突を見つけると、何も予定が無ければ煙突を目印にしながら銭湯を探して入浴する。そんなことをしていました。その際に感じたのが、日本人、外国人を問わずに観光の人が多くなったな、ということでした。常連さんにとっては、長年通っている銭湯は我が家のお風呂と同様でしょうから、愛着が深いだけに、つい厳しい言葉を発してしまうのでしょう。

平安時代の京都には「湯屋」と呼ばれる銭湯があったそうです。長い年月、愛され続けている銭湯、最盛期には、京都に約600軒もあったようです。現在は約120軒、多いときの5分の1です。厳しい経営状況に耐えながら営業を続けている銭湯にとっては、一見さんや観光客も常連客と同じで必要ということでしょう。

落語の『浮世風呂』は、こんな風に始まります。
「湯屋のお客さんは、男湯と女湯ででは全く逆です。陰陽に別れていて、男湯は流しに出ている時は静かですが、湯船に浸かっていると歌などを唄って騒々しくなります。ご婦人方は湯に浸かっている時は静かですが、洗い場になると世間話に花が咲き賑やかなこと。」
昔から銭湯は社交場で、賑やかで楽しい空間だったのでしょう。だから、とげとげした雰囲気は似合わない。これは推測ですが、玉の湯の店主は、そんなことも伝えたかったのかもしれません。

2019年5月21日RT(310)
編集部 春風

編集部 春風

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