「在りし日の京都」をテーマにした手ぬぐい

京都芸術大学 京都伝統文化イノベーション研究センターが、Whole Love Kyotoと共同で、移り変わる「在りし日の京都」にフォーカスを当てた”手ぬぐい”を制作したというニュースです。

京都芸術大学は、2018年に「京都伝統文化イノベーション研究センター(KYOTO T5)」を設置。京都における伝統文化の継承・発展に寄与することを目指し、伝統文化資源の発掘・再評価→資源・人的ネットワークのリ・デザイン研究→事業化(地域活性化・製品化)というイノベーションサイクルを高度化させる取り組みを推進しているようです。

今回、KYOTO T5に在籍する学生約50人が、これまでのリサーチ活動で見て感じてきた失われつつある文化について、それぞれ考えデザインに起こし手ぬぐいにさせるコンペを行いました。採用された手ぬぐいは3案。それぞれWhole Love Kyoto(株式会社CHIMASKI)で製品化して市内の提携先店舗とオンラインショップWhole Love Kyotoにて2022年7月2日(土)より販売を予定しているそうです。

「在りし日の京都」をテーマにした手ぬぐい販売について
販売開始:2022年7月2日(土)から
現在は以下の店舗で販売を予定しています。
■恵文社 (店頭販売 ※7/2~7/31まで)〒606-8184 京都府京都市左京区一乗寺払殿町10
■鍵善良房 (店頭販売)〒605-0073 京都府京都市東山区祇園町北側264
■ホテルカンラ (店頭販売)〒600-8176 京都府京都市下京区北町190
■Whole Love Kyoto (オンラインショップ:https://wholelovekyoto.jp/category/item/tenugui/)
※手ぬぐいを制作した学生への取材が可能です。是非ご取材ください!
取材に関するお問合せ
京都芸術大学 広報課 担当:作山(さくやま)、市川(いちかわ)、山岸(やまぎし)
TEL:075-791-9112
Mail:kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

販売する手ぬぐいについて
これまでKYOTO T5の活動を通して見つけた、京都の伝統文化の中で見られる面白い物事を手ぬぐいに。歴史・文化の街と言われる京都ですが、時代に揉まれ変化してきたものは少なくありません。その変化から見えてくる、京都のこだわりをグラフィックに起こし、手に取った人にとって身近となる様、手ぬぐいとして製品化したみたいです。

●「うなぎの寝床」

『京町家』の代表ともいわれる「うなぎのねどこ」。京都の町屋は宅地の間口が狭く奥行きが長いことから、まるで「うなぎのねどこ」のようだということに由来しています。「うなぎの寝床が細長いところ、手ぬぐいに似ているかも、」という気づきがアイデアの発端です。京都に残るうなぎの寝床として、江戸期に創業し現在の店舗は明治時代に建てられたという陶器屋さん 「陶点睛 かわさき」さんに調査のご協力を頂きました。間取り図が残っていなかったため、お店の隅から隅までを実際に測るなど、正確な間取り図を作りました。
入り口からは想像できない奥行きが特徴のかわさきさんのお店。間取りそのままをデザインに仕上げました。手ぬぐいだけでなく実際にお店に訪れてみるとさらに魅力を体感することができます。

●「錺金具の道具(鏨)」

錺金具とは装飾を施した金具のことで、一般的にはお寺や神社、お神輿や仏壇の装飾のことを指します。現在では機械化が進み、手作業で作られることは少なくなっていきました。そんな中、寺社仏閣が多く残る京都で、創業以来約140年にわたり主に手作業で錺金具製作を続けて来られたのが、森本錺金具製作所さんです。錺金具を施すために欠かせないのが「鏨」と呼ばれる道具たちです。職人は何千種類もある鏨の中から図柄に合うものを選び出し、金槌で一つ一つ打ち付けて模様を彫っていきます。その鏨を森本錺金具製作所さんに実際にお借りし、拓本を取り、手ぬぐいのデザインに仕上げました。マスのなかにおさめた鏨の柄は全て柄が違います。その微妙な違いに、京都の手仕事の凄さがぎゅっと詰まっています。

●「菓子木型」について

菓子木型は美しい和菓子の形を決める大切な要。季節の花や植物を型取ったものや、その年の象徴である干支を表しています。大小さまざまな木型には日本の、そして京都の文化を支えてきた繊細で美しい職人の技術が至る所に見られます。そんな菓子木型を作る職人は、残念ながら日本国内でわずか数名のみという厳しい現状になっています。
お菓子そのものの美しさだけでなく、そのお菓子作りを支える菓子木型に注目し、この手ぬぐいをデザインしました。実際に鍵善良房さんから菓子木型をお借りし、その菓子木型をスキャン。その後、ちぎり絵で菓子木型の柄を再現することで、菓子木型の持つ繊細で可愛らしい姿は残したまま、親しみやすいデザインに仕立てました。
それぞれの菓子木型からどんなお菓子が生み出されるのか、想像することで新たな目線から京都の魅力を楽しむことができます。

販売される手ぬぐいは、京都の染工房「伊原染工」(京都/太秦)の職人の手仕事によって染められています。京都の伝統文化の魅力を余すところなく身近に感じられるこちらの手ぬぐいです。

2022年6月30日RT(173)
編集部 春風

編集部 春風

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