人の心を動かすとは

 4月を振り返って、新人職員の話です。私の働いているフロアに20歳の新人職員が加わった◆自分が20歳の時に働きた始めた頃を思い出した。「礼儀作法はできていたのか?」「自分は介護の仕事に向いているのか?」「その後どんな風に教わっていたか?」など◆当時と現在では、時代背景が違うので、新人に説明、指導するにも、強く言いすぎるとパワハラになる。そうした意識から慎重に言葉を選びながら、指導を行っているが、如何せん、目に余ることも。例えば、「ため口」で目上の人に話す。人に話を聞く時も、上の空・・◆こちらも丁寧に話すが、つい語気を強めて説明してしまうこともある。そうすると、新人は、「〇〇さんから強く言われた」と上司に。その上司も内々事情を知りながら私を注意する。現代は、パワハラやモラハラが大きな問題になっているだけに、指導の際は特に注意をしているのだが◆本人は、「初めてきつい口調で言われた」「指導が細かい、厳しすぎる」との理由で簡単に仕事を辞めるケースもあった。研修で他の施設に方々と話すと、後輩の指導で似たり寄ったりの問題を抱えている◆指導している側も新人職員が今後、働き続ける際、壁にぶつかる事もあるだろう。多少は経験のある私としては少しでも助言になればとの思いからだ。そして何より、「命に係わる仕事」をしているという認識を持ってもらうことを念頭に置いている。日々の薬も間違うと大事に至ることも◆入所しているお年寄りの方々への適切な応対ができる介護士育成を目標にしているのだが、中々伝わらないことも少くない。しかも、介護施設での勤務は厳しいし、待遇も決して満足のいくものではない。こうした点も彼らの不満にある。介護施設だけの話ではないと思うが、時代に合わせた“適切な指導方法”とは、どうすればいいのだろうか?◆「貴方の心からくるものは、人の心を動かす」。介護を勉強していた学生時代に河合隼雄さんが訳したドン・シベットの言葉を反復している毎日だ。

(山口 蓮)

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2022年5月7日RT(261)
編集部 春風

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