盆といふたとて、私には何もない。

八月十五日 晴。

――午後五時帰居。
何となく、うるさくさびしく感じた。
無相さんから久しぶりにたよりが来てゐた、しみ/″\読ませるたよりだつた、この秋には多分逢へるだらう。
払へるだけ払つて、そして白米一升豆腐一丁買つた。
盆といふたとて、私には何もない。
秋風らしく吹く、盆踊の大マヽ鼓が鳴つてゐる。
のび/\と寝た、自分の寝床ほどやすらかなものはない。

種田山頭火「其中日記(十五)」から抜粋

2022年8月15日RT(105)
編集部 春風

編集部 春風

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