[川] 別れと出会いの季節

 私は一年の中で三月が一番苦手だ。それは三月が寂しさを一番感じる月だからだ。学生の頃から卒業といえば三月であり、社会人になっても退職・定年退職といえば三月が多い。人と別れなければいけない季節だと毎年思う。

 中学生の頃、出会った曲の歌詞に驚いたことがある。コブクロのここにしか咲かない花という歌の歌詞に「同じ数の出会いと別れ でも割り切れなくて」という部分がある。曲を聞いた当初は、人と出会った数の方が間違いなく多いと信じていた。出会ったらずっと出会ったままだとも信じていた。

 しかし、よく考えてみれば、出会った人ともいつか別れる。それが卒業式か友達との遊んだあとの帰りか、この世から去った人との別れかそれは分からないけれど、ずっと隣にいられるということはないのだと気がつき、とても寂しい事だと感じてしまう。

 私の友人には、三月の別れのあとに来る四月をとても楽しみにしている人がいる。「別れがあるから新しい人に出会えるんだ」と言われたことがある。確かに三月は別れで四月は出会いの月なのかもしれないが、四月が楽しみと思ったことは一度もない気がする。

 まだまだ私には新しい出会いの楽しさよりも、別れの寂しさのほうが強く心に残るようだ。いつか別れが新しい自分に出会えるチャンスだと楽しみが寂しさを越えられる日が来たら少しは自分も強くなれるのだろうか。 

(酒井瑞希)

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2022年3月30日RT(461)
編集部 春風

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