雨に感謝する

 六月。もうじき近畿も梅雨入りし、これからしばらくは雨が続く。五月の下旬は暑かった。八月を先取りしたような暑気が続いた。湿度もきつかった。それが一転、寝起きには冬場に着る長袖を取りだしている。体の不調を感じている人が多いとおもう。私もそうだ。

 雨の季節になると考えることがある。日本では「雨」というと、かならずしも喜ばれない。洗濯物は乾かない。衣服や靴が濡れる。知人との会話で「いま来るときにいきなり雨が降りまして」というと「あらあら、それは災難でしたね」とも。

 筆者は、実は雨の時はいつも空を見上げて喜んだり感謝したりしている。何故か幼少の頃から雨の音や匂い、静かな風情に心が鎮まり、雨の日を愛してきた。

 雨降りは、イスラエルのユダヤ人達のあいだでは何時も祝福の要素がある。建国以来三十年続いた中東戦争が、アメリカを介したエジプトとの和平協定で終結したとき、イスラエル全土に雨が降ったとの逸話がある。「雨」が恵みであるとの教えは、聖書を通じたユダヤ人の精神なのだ。

 ヘブライ語で雨のことをゲシェム(Geshem)という。日本語の淡く儚い響きと違って硬質な印象がある言葉だ。

(臨 機清)

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2022年6月11日RT(554)
編集部 春風

編集部 春風

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