目に見えない力にすがり祈る


【新型コロナウイルス感染の早期終息を願って/slow news/想い、思い。/京都・二条】

JR嵯峨野線の二条駅から御池通の北側を堀川通に向かって東へと歩きます。誰もが不要不急の外出を控えているのか、人通りは少なく、駅前の飲食店はどこも店内がガラガラ。片側1車線の道路を走る車だけが、いつもと変わらぬスピードで通り過ぎてゆきます。

10分も歩くと目的地の「東寺真言宗神泉苑」に辿り着きます。794年、桓武天皇が平安京を造営した際の禁苑で、大内裏に隣接し、北は二条から南は三条まで、東は大宮から西は壬生までの広大さだったようです。平安京創建時より洛中で現存するのは東寺と神泉苑で国指定の最古の史跡です。

今回、神泉苑を訪れたのは、ここが京都の人にとって大切な場所だからです。今から1151年前の869年、京の都で疫病が大流行しました。その際、当時の国の数にちなんで66本の鉾を建立して神泉苑にくりこみ、祇園の神(スサノオノミコト)を迎えて厄払いが行われました。災厄を取り除くための祈りが、後に祇園御霊会、祇園祭になったとされています。

新型コロナウイルスという目に見えない災厄に生命と日常生活を脅かされている今、同じく目に見えない大いなる力にすがり祈ることが心の安らぎになるかもしれません。

4月8日には、かつて神泉苑内であった八坂神社の境外末社・又旅社で、新型コロナウイルス感染の早期終息を願う特別神事「国家安寧祈願 祇園御霊会」が営まれました。5月20日には八坂神社で、6月14日には神泉苑でも神事が行われるようです。

学校の休校、会社の在宅勤務、飲食店や商業施設などへの休業要請、不要不急の外出の自粛。感染防止の為の策が次々に実施されています。その中の一つとして昔の人がどのように災厄と向き合ってきたのかを調べてみる。こんな時だからこそ非科学的なことに目を向けるのも有意義だと思うのですが。

2020年4月15日RT(230)
編集部 春風

編集部 春風

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