春に咲く手毬
小さな車輪の折り畳み自転車で、
小さな坂道をいくつか越えると
小さな公園があります。
京都の真ん中にある公園は
染井吉野がとても咲くので
隣にある小学校から聞こえる幼声のように
なんだか元気にしてくれます。
薄紅の花びらが
風に舞い地を染めると
ペダル漕ぎが汗ばみます。
公園では一本だけの八重桜が
宝玉のように咲きました。
桜ばないのちいっぱいに咲くからに
生命をかけてわが眺ながめたり
岡本かの子が詠んだ歌です。
見上げると濃紅の花びらが
蒼空で跳ねる手毬のようです。
―春風―
2021年4月7日RT(120)