4月初旬のある晴れた日の夕方の事【前編】

「紗帆ちゃん日記」第2回

 この日、私(紗帆の父)は仕事が休みである計画を立てていた。計画といってもそんなに大袈裟な事でもないが、近所の桜がとても綺麗なので紗帆と一緒に桜を見ようとママと相談していた。
 紗帆は朝のルーティーンを済ませて朝食もしっかり食べて今日は近所の放課後デイサービスに行っている。
 時間は17時、「ピーンポーン」帰ってきた!と同時に飼っている紗帆の妹分のトイプードルも「ワンワンキャンキャン」の猛アピール。「待て待て!」と言いながら紗帆を迎えに玄関先へ。スーっと玄関を開けるとちょうど紗帆が車椅子から降ろされるところ。「紗帆ちゃんお帰り~♪」と抱きかかえさっそくほっぺたに顔をスリスリ・・・紗帆は車から出て眩しいのか目を薄っすら開けるだけの無表情・・・チーン!って感じ。
 デイサービスのスタッフの方が今日の様子のダイジェストを報告してくれる。「紗帆ちゃん今日はお昼の後少しシクシクなりましたが抱っこしてたら寝たので眠たかったのかな~紗帆ちゃんまた明日ね」。デイサービスは本当に助かっている。「紗帆楽しかった~?良かったねぇ。有難う御座いました~」と、玄関から家に入る時に必ず私がする事がある。
 紗帆の表情を見逃さない事。玄関に入って扉をスーっと閉めると・・・お目目がパッチリ、さっきまでの表情がうそのよう。そして彼女の口元がゆっく~り緩む、ニンマリした表情。ツンデレ彼女がツンからデレに変わる瞬間がたまらなく可愛い・・と、父は勝手に想像しているが、本人は「あー眩しかった」だけかも知れない・・

 「紗帆ちゃんどう?桜見に行く~?」妹分のトイプードルは「行く」というワードに敏感。「ワン!ワン!」と自分も自分もと相変わらず猛アピール。紗帆は当然見に行くとも行かないとも答えない。「紗帆ちゃ~ん・・・カエルのうたが~♪聞こえて~♪」と耳元で歌うと「フ・・・フフフフ」と笑い出す紗帆。これは裏技で歌が好きな紗帆は音楽についつい反応して笑っちゃうみたい。「よし、紗帆も行きたそうや、行こか!」

次回に続く。

(谷岡哲次)

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2021年4月14日RT(459)
編集部 春風

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