4月のある晴れた日の夕方【後編】

「紗帆ちゃん日記」第3回

「よし行こか!」
と近所の桜を見に車で5分程ドライブへ。妹分のトイプードルもちゃっかり同席。車を降り、紗帆は私に縦に抱っこされて、西の空が薄オレンジ色に変わり始めた遊歩道をゆっくり進む。空を見上げると薄ピンク色の桜が少し風に揺れている。その風が心地よく紗帆の顔を優しく撫でるように過ぎ去っていく。後ろからはママと妹分のトイプードルがテケテケと付いてくる。

縦に抱っこされているので、紗帆の視線は大人の私と同じ。
「紗帆ちゃん♪ほら!さ・く・ら」「見える?さ・く・ら」
「・・・・・」

視線は私と同じ方向を向いている。
しっかりと桜を見ているに違いない。
「紗帆ちゃん、さくら綺麗やなぁ~」
「・・・・・・」紗帆からの返事は返ってこない。
ふと思う。紗帆にもこの桜は同じ色で同じように見えているのだろうか・・・?
反応がついつい心配になり、あの裏技を・・・
「カ~エ~ル~の~う~た~が~♪」
「プッ・・フフフ」
耳はよく聞こえていそう。
父の下手くそな童謡でも笑ってくれているので聞こえているはず。
もしかしたら「下手くそ~っ」て思って笑っているのかも(笑)

表情は?楽しそうなおだやかな表情。
良かった、嫌々ではなさそうだ。本当なら年頃の13歳の女子中学生はお父さんを避けたい年頃かも知れない。でも紗帆は嫌な顔せずにまだ父に抱っこをさせてくれる。ただ・・・去年位から体重が少し増えたおかげで抱っこ出来る時間は10分が限界。。。中々体重が増えない時期があって心配していたが最近よく食べてくれるようになって少しだけふっくらしてきた紗帆。
成長を嬉しく思う反面私達夫婦の老いも若干心配な今日この頃。

体力の限界の10分が近づいてきた。
「紗帆ちゃん、そこの大きな桜の木の下で写真撮ろう!」
「・・・・・・」

父と娘の10分デート、陽春の穏やかな晴れた日の夕刻にて。

(谷岡哲次)

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2021年5月10日RT(100)
編集部 春風

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