五山送り火は外出を控えての記事を読んで

■ここ数日で気になった京都のニュース

「京都市長『府内に緊急事態宣言が必要』、感染急拡大で 五山送り火は外出控えるよう要請」(京都新聞より)

■ニュースを読んで調べたこと

 精霊が帰ってくるときに迷わないように「迎え火」を焚き、あの世に戻るときに「送り火」を焚き帰り道を照らす。昔から続くお盆の行事です。お盆の正式名は「盂蘭盆会」で、「盂蘭盆教」に基づいた仏教行事の一つです。「盂蘭盆教」には、亡き母を案ずる子の説話が書かれています。

 釈迦には神通力に優れた目連という弟子がいました。ある時、目連が神通力によって冥界を見渡していると、幼い頃に亡くした母が餓鬼界で餓鬼になり苦しんでいるのを見つけました。目連は神通力によって母の前に鉢に盛った飯を出現させますが、燃え上がって食べることができません。苦しむ母を救いたい目連ですが、自分の力ではどうすることもできません。そこで釈迦に救済のすべを尋ねたところ、「お前独りの力ではどうにもできない。十方の衆僧の威力によらなければならない。夏の修行期間の明ける七月十五日に、盆器に盛った飲食物を十方の衆僧に捧げて供養すれば、父母だけではなく七世前の祖先まで救われるであろう」と教えられました。目連が釈迦の教えを実行すると、その功徳により母は苦しみから解放され、極楽往生を遂げたそうです。

■そして思ったこと

 目連の母は現生の悪行によって「餓鬼」となり苦しんでいました。「餓鬼」は字のとおりで、欲望に餓え続け満足することができずに苦しむ鬼のことです。

 昔は鬼を「遠仁」と書くこともあったそうです。“仁から遠い”――常に自分のことばかり考え、他者を思いやる心や慈しむ心から遠く離れている。そのような存在を“鬼”と表したようです。

 現在のコロナ禍を案じる門川京都市長は、「今年の五山の送り火は、外出を控え、自宅で静かに手を合わせ、ご先祖を送っていただきたい」と呼びかけています。

 8月13日、新型コロナウイルスの新規感染者数が、東京都で5773人、神奈川県で2281人、埼玉県で1696人、千葉県で1089人、京都府で450人など17の都府県で過去最多を更新し、全国では初めて2万人を超えました。

今、あなたの行動が、問われています。

あなたは、“仁”を大切にする「人」でいますか?
それとも自分勝手な「鬼」になりますか?

―春風―

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2021年8月13日RT(216)
編集部 春風

編集部 春風

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