111歳は「皇寿」

 「老人の日」の9月15日、京都府下で最高齢の久御山町に住む藤井夏江さんが111歳のお祝いに目を細めた。明治43年6月10日生れ◆111歳の長寿の祝い言葉を「皇寿(こうじゅ)」と言う。「皇」という字は、「白」と「王」からなる。「白」は、「百」の字の一番上にある「一」を取ると「白」の字になるので、100−1=99。「十」と「二」からなる「王」は12。99+12=111となり「皇寿」に◆この祝いの言葉には、「天子(天帝に代わって国を治める人)の寿命」という深い意味が込められている。高齢者は、遠い昔から尊ばれる“幸齢者”だったのですね◆日本では現在100歳以上の超高齢者が約9万人。30年後には100万人近くになる。国の調査で、要介護(要支援)認定者数も増え、現在は約700万人。20年後のピーク時には、1000万人近くに達するという◆自宅での介護、しかも老老介護の家庭も増え、それにコロナ禍が追い打ちをかけて、「孤老死」や「介護疲れから手を~」など痛ましい事件などが起きている。

 深沢七郎の「姥捨て」を題材にした小説「楢山節考」(ならやまぶしこう)では、息子が70歳になる母親を背負い山に捨てにいく「楢山まいり」が出てくる。それは口減らしのためだ。食うに食えない貧しい時代だった◆戦後、食産改良や医療技術などの発達で、「姥捨ては昔の話」「誰もが100歳まで生きられる時代」と、平均寿命も伸び、高齢者は豊かさの象徴として世界を駆け巡った。それが一転、「福祉予算の打ち切り」など“お荷物扱い”に。老いた両親は我が身だけでなく我が子・孫らの行く末を案じて生きなければならない時代を・・「天子の寿命」の陰で「姥捨て社会」が始まっている。

(西村敏雄)

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2021年9月25日RT(305)
編集部 春風

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