すれ違い「ゴメンね」

 俳優の高倉健さんが、撮影の合間に石垣島を訪れたことがあります。目にしたのは総勢100人ほどの小中学校合同の競技会での「縄なえ競争」です◆おじいちゃん、おばあちゃんらが子供らの前で、藁をよじり、だれが一番長い縄をなえるかを競ったのです。子供らの真剣な表情と、必死で汗水流して縄をなえるお年寄りら姿◆この光景に見入り、「いつの間にか自分も拍手していた」と後の雑誌の取材で答えていた。帰郷後もその感動がいつまでも心に残り、「彼らに何かプレゼントしよう」。贈ったのが天体望遠鏡でした。でも少し後悔しました◆石垣島の夜空は、東京と違い、満天の星に手に届くのでは?満月に照らされた浜辺も子供らを不思議な世界へ誘ってくれているのでは?「それなのに俺は望遠鏡を」◆健さんの思いと、星がキラキラ輝く夜空を見て生きている子供らとのほんの少しのすれ違いに、心を痛めていたのです。

 健さんといえば任侠路線の花形。でもその寡黙な性格から、誤解もあったようです。「不器用な自分です」と周囲に漏らしていた。そんな健さんの不器用さが、我われが忘れかけていた「人への気遣いや思いやり」など、目には見えない何かを銀幕から贈ってくれている気がします◆いま、その沖縄はコロナ禍で米軍基地の兵隊の外出が当分、禁止に。「あの・・」「これ・・」とワクチン担当大臣の国会答弁で混乱した。答弁は「器用」でなくてよいのですよ。国民を思いやる誠意があり、嘘でなければ。

(西村敏雄)

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2022年1月12日RT(441)
編集部 春風

編集部 春風

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