孤独でも一人じゃないよ
「他人に合わせる人生は自分じゃない」「嫌な時は逃げてもいい」。いじめやイライラからの言い争いはうんざり◆「残りものには、過去がある」(新潮文庫)の著者・中江有里さんは、小学校のころから人前で話すのが苦手でした。そんな過去を、(荒木一郎さんの)リリース曲「空に星があるように」を歌いながら伝えてくれています。「空に星があるように~」「何もかもまわりは消えてしまったけれど~」「それは誰にもあるような~」「ただの季節のかわりめの頃」
今は歌手、脚本家、文筆家などをこなす中江さんですが、小学校の学芸会での役は影絵の犬。「ワォーン」と吠えるだけ。地味で目立つのが嫌な中江さんにとっては嬉しかったそうです◆でも、中学に進むと勉強についていけず、更に、「不良の先輩からいじめも」「部活にも入らず静かにしていたのが却って目立ったのかも」。中学生の3年間はご両親も離婚、「どん底」だった◆高校へ進学してから、「私を救ってくれたのは書くことでした」。日記のようにその日の出来事や気持ちを書き、好きな歌の歌詞を書き写すこともあったという。「漠然とした思いを書いてみて、『あぁこれが不安の種だ』と“客観的”に自分を見つめることができるようになった」
もちろん書くことが苦手な人は、歌でもピアノでも読書でも陶芸でも打ち込める趣味を見つけ出してはと思います。「壁を乗り越えて見せる」という自信たっぷりで語る人もいます。それで頑張った末に心が折れては何にもなりません◆今は、コロナ禍で心身が壊れそう!そんな声も聞こえてきます。無理に頑張らなくてもいい時かもしれませんね。中江さんからのご褒美を皆さんへ。「どん底があったけれど、自分の心は自分にしか分からないよね。無理しないでできることから出発してみては」「孤独でも一人じゃないよ」。もう立春です。
(西村敏雄)
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