思い煩いを風が流してくれる

 2022年にはいり、もう2月も下旬になった。と云ってもまだまだこれからが本番を迎えるものがあります。「政治」についても多くのことが、これから起こると思っています◆今年は寒く、体にこたえる日がつづきます。今ふと、元旦のことをおもいだす。私は、兵庫県都市部に在住ですが、年始早々思いたって阪急線の切符を購い、大阪へ向かいました。降りたのは「淡路駅」。人もまばらで、小雪が散らつく正午頃のことです◆私は九州生まれです。子供のころに家族で大阪へ移住して大阪と奈良で育ちました。紆余曲折あって私はしばらく東京に暮らし、再び九州へ戻り、今度は滋賀へと転々と暮らすことが20代まで続きました◆兵庫県に定住してもしっかり10年。日々の歩みのなかで、思い詰まると、独り“逃避”するように切符を購って大阪へ。向かう駅は十三や淡路、柴島などのいわゆる下町ばかりです。どうしてだろう、と思う。各駅停車だけが停まる、少しひっそりとした小駅をえらんでおり、そこからひと駅、ふた駅区間、ゆっくり、歩くのです◆そうすると、心が鎮まる。自分を取り戻していく感じがする。こんな一日を、或るときから「盲点の日」とか「時間の窪み」と自分で云っている。郷里の九州よりも、関西で暮らした時間がはるかに長い。これら大阪下町の風情に、地元九州を重ね合わせているのかも知れない思うこともある。

 昭和の時代から変わらないような家屋がならぶ裏路地がなつかしい。淀川界隈に吹く風の、遥かな心地よさ。わだかまる日々の思い煩いをこの風があらい流してくれるようだ◆ところで、この10年ほどだろうか、そうした住宅地のなかに大きなタワーマンションがそびえ立つようになった。JR線東淀川駅の、線路周辺の超近代的な量感と素朴な風情が、矛盾したような風景をつくっている。このような景観のコントラストは、近年の政治行政から「分断の構造化」なのだとの意見も耳にするようになった。こんな景観のなかを淀川の、あの“風”が吹いている◆そうした中でも大阪下町の匂いは変わらずにあり、そこを歩けばまるで故郷のなつかしさをおぼえます。

(臨 機清)

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2022年2月24日RT(256)
編集部 春風

編集部 春風

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