あの「ひまわり」の舞台は今
「すろーかる・かわら版1」
ロシアがウクライナに軍事進攻を開始して1週間、「政権転覆狙いか」とメディアは報じている。悪夢のチェルノブイリ原発の「石棺」を抱えたうえ、また多くの市民が銃弾の犠牲になりつつある▼「世界が疫病の生贄(いけにえ)となり~最後にはごく少数の選ばれた人々を除いて滅び去る」。ロシアの作家・ドストエフスキーの「罪と罰」にある▼この疫病にかかると、悪魔に憑かれて、今まで考えもしなかった強烈な自信を持ち始めて、「自らは賢く、その信念は絶対に正しい」と思い込む▼ロシアのプーチン大統領は「もともとロシアの領土」。米国のバイデン大統領らトップらは、西側の欧州同盟であるNATO加盟を通じて対ロの最前線に。共にこの疫病に侵されている。互いに勢力図を描いて自己主張の正当性を口にする▼独ソ戦で多くの命が奪われ、恋人同士が引き裂かれたソフィアローレン主演の映画「ひまわり」(1970年)の舞台に市民らの血が流れ、あの小高い丘の白い墓標がまた増えるのか。
国連への期待もある。25日、安全保障理事会はロシアを非難し、武力行使の即時停止と撤退などを求める決議案を採決した。米欧など11か国が賛成したが、常任理事国のロシアが拒否権を行使し、否決された▼「5常任理事国に牛耳られて無力」との批判が当たった。地域紛争や核軍縮、人権、飢餓問題では一定の役割も果たしているのだが・・▼国連旗は、青の地の中央に北極を描いた世界地図にをオリーブの枝が囲んでいる。「平和維持」「人権擁護」などを憲章でうたい「地球号の家族」の願いが込められている。
ロシアの諺にある。「一つの手の平では拍手はできぬ」。米ロのトップが互いに「手の平」を合わせるかだ。ウォッカを吞みながら、「ペレドゥイシュカ(息つぎ)」を。そしてウクライナ市民はもとより、世界中から「マラジエツ(すごいぞ)」との歓声が上がることを願うのだが。日本は、国際舞台では「ファー・イースト(遠い東の国)」のままのようだ。
(大峯ビンユー)
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