泣くときは思いっきり

 「川原一面に咲くコスモスが手を振りながらささやいてくれたんです」「貴方は大丈夫ですよ。人間社会では失敗したけれど一つの命として私たちと繋がりましょう」。作家、詩人、歌手の他に道化師の顔(写真)を持つドリアン・助川さん。若い頃、ニューヨークでのバンドが思うようにいかず、家族と共に帰国した時、「何もつかむことができなかった」と落ち込んでいました。幼い娘さんを抱えて無一文。「どん底」でした。近くの堤防を一人歩いていた時に出会った風景がコスモスとの会話です◆1990年代は若者相手のラジオ深夜番組「正義のラジオ ジャベルジャン」でパーソナリティを。その後執筆した小説「あん」は20万部を超すベストセラーになりました。ハンセン病元患者の差別を取り上げています。執筆の動機について、「子どもの時に発病して生涯、施設から出ることができなかった方々とお会いして、『生まれてきた意味があるはずだ』と痛感したんです」◆「あん」を原作に2015年には映画化され、樹木希林さんが、映画の主役として最後の作品となって話題になり、カンヌ映画祭でも高い評価を受けました◆そう言えば、今年96歳になる総本山鞍馬寺貫主の信樂香仁さんがある雑誌に「どん底という言葉をよく耳にします。ですが生きていれば、嬉しいこと、楽しいこと、勿論悲しいことや落ち込むこともあります」◆ご自身、94歳の時に転倒して左大腿骨骨折をして3ヶ月入院生活を余儀なくされました。「このまま歩けなくなるのでは・・」と不安で頭が一杯に。ですが「どんな結果であれ現実の自分を受け止めて行かねば」と思い、「運が悪かった」と歎いたり、「もう少し気をつけていたら・・」と自分を責めたり「あの人のせいで・・」と恨んだりすることはしませんでした◆長い人生の中、ドリアン・助川さんも、「売れずに~座っていても疲れるし~いっそ消えてしまおうかと思ったりしたことも~」あったのです。ですが、「作品等を通じて知り合った多くの人たちとの繋がりから、生きる喜びがまた生まれてきました」「それが私を支えてくれています」と。道化師は仮面の内で涙を流すそうです。泣きたいときには仮面を外して思いっきり泣きましょう。あのコスモスがささやいてくれるかもしれません・・

(西村 敏雄)

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2021年2月26日RT(94)
編集部 春風

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