かっこちゃんの元に集まれ!

 「私の心は確かにここにあるのに、私の心が言葉になって届かない~誰にも気づいてもらえない。不安と寂しさに叫びたかった」「助けて~気がついて!」。そんな悲しい気持ちで目が覚めました。元特別支援学校教諭の山元加津子さん。愛称「かっこちゃん」です◆同僚で親友の宮田俊他(愛称・宮プー)さんは脳内出血で倒れ、かっこちゃんの不安な夢と同様なことが、宮プーにも起きていました。意思を伝えられないこのロックト・イン・シンドロームです。そのご奇跡的に宮ぷーが「満月をきれいと僕はいえるぞ」(三五館)と。これをきっかけに、かっこちゃんは何か大きな力に導かれるように「宇宙は今日も私を愛してくれる」(同)などを書き始めました。

 今回はもう一つ話です。きっかけは、多発性硬化症(MS)という病気を発病した「雪絵さん」との出合いです。再発する度に目が見えにくく、手足も動きにくくなる症状がでます。雪絵さんは、「もし目が見えなく~手や足が動かなくなったら、私は、目や手や足にありがとうというよ」と◆そんな前向きに生きた雪絵さんが亡くなる時にかっこちゃんに、「世界中の人に一人ひとり違ってそれが素晴らしい。すべてがいつかいい日のためにあることをかっこちゃんが伝えて。約束して」。その思いを心込めて「リト」(モナ森出版)を書いたのです。

 さわりを。~誰からも「リト」と呼ばれたことのない子犬は麦畑でこれから「ボク、どっちに進んだらいいのだろう」。初夏の風が運ぶその匂につられて行くと、小屋の前にはおじいさんが◆「おじいさん、ボクの道はこれでいいかな?」。おじいさんは「お前の道は、お前だけが知っている」と◆お腹がすいたリトはある牧場主に出合いました。が、「こんなちっぽけな子犬じゃ羊も追えん」と。でもリトは「朝、おはようと言えるよ、それは役に立つことじゃないの?」。旅を続けました。幸いに子牛を亡くしたばかりの母牛がミルクを飲ませてくれました。でも、「おまえのような小さな犬はミルクもでない。元気になったら出てお行き」と◆その後、リトを売ってお金にしようとする貧しいおばあさんとマスク姿の男に出合い、リトは考えました。「役に立つ、役に立たないって何だろうか?」。でもある時、優しいおじいさんの犬に出合いました。「やぁ来たか」。そう言い、狩りにでた若いころの話などを・・でも亡くなる前に「私を“かけがえのないもの”と思ってくれるのか?」とポロポロ涙を。そして最期に「お前こそ私にとって“かけがえのないもの”だよ」。はっとしてリトは、「あの牧場主も母牛も、お金にしようとして人々も本当はみな“かけがえのないもの”を求めているんだ」と◆「かけがえのないもの」とは読者の皆さんにとって何でしょうか?あのおじいさんの犬の言葉です。「かけがえのないものを失った時に我慢できなくなるほど悲しくなるものさ」「かけがえのないものがあればどんな大変な時も頑張れるのさ」◆コロナ禍など殺伐とした社会の中で「お互いを認めあうことの大切さ、どんな人でもありのままを受け入いれるかっこちゃんの優しさを届けたい」(あうる京北職員・藤田幸樹さん)。あうる京北で、一緒にかっこちゃんのお話を聞きたいものです。

(西村 敏雄)

★【告知】9月25日(土)13時30分か~16時30分。「あうる京北」(京都府立ゼミナールハウス・京都市右京区京北下中町鳥谷2)で山元加津子さんの講演会「いま、かっこちゃんに会ってほしい」(写真)が開催されます。問合せ先:あうる京北☎075・854・0216 前田佳織☎090・3486・4274。IR二条西口から送迎バスも。

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2021年5月29日RT(735)
編集部 春風

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