自分だけの魔法を探しませんか?
雨の日は楽しい本を・・コロナ禍の中で不安の日々を。そんな気にもなれない時もありますね◆童話作家の角野栄子さんとお話した時のことを書きますね。「魔女の宅急便」の著者です。絵を描くことが好きだったお子さんが、魔女を描きました。それを見た角野さんは「わぁ楽しい魔女ね」◆角野さんが学生時代に見た雑誌の写真。「鳥の目からみたニューヨークの風景」が急に頭に浮かび、お子さんの描いた魔女と鳥が結ばれ、生まれたのが「魔女の宅急便」。宮崎駿さんのアニメにも(写真)。
主人公のキキは空を飛ぶ魔女ですが、万能でもない普通の女の子です。魔法というとなんでも叶えてくれるものと思っていました。「キキが空を飛べるのは、ピアノが弾ける、折り紙が上手に折れることと同じこと」。だから大切なことは、子供自身が好きなこと、夢中になっていることに大人が目を向けてほしいという。それが「自分がもっているたった一つの魔法に出合うことなの」。
時間がかかる人がいるかもしれない。でも、「自分には一つだけ魔法があると信じることです」◆5歳の時に角野さんは大好きだったお母さんを亡くしました。その時に「アラジンと魔法のランプ」が頭に。このランプをこすれば何でも叶えてくれる。必死に「お母さんを出して」とこすり続けました。でも心の片隅で「そんな魔法はないと思っていたんですよ」。
最後に角野さんが語ってくれました。仮になんでも叶えてくれる魔法を与えられたら、自分の思い通りになる。何でも手に入る。「それが本当に幸せでしょうか?」。私たちは戦後、沢山のものを手にいれました。でも、たくさん手に入れることでたった一つの大切なものさえも見失っているのでは・・◆「神様は一人にひとつだけ魔法をくれたのです」。さて私たちの一人ひとりの魔法は何かな?キキを思い出しながら自分だけの魔法を探しに出かけましょうか!
(西村 敏雄)
◆記事に対するコメントはメールでお願いします。
info@slocalnews-kyoto.jp