見知らぬ人も私に拍手してくれたんですよ!

 「先生、わたし、夢を見つけました。嬉しくてね」。数年前、ある知り合いの心療内科医から「心の病」にかかった患者さんのお話を伺いました◆患者(女性)さんは、検診の度に、「誰からも必要とされない」「誰からも愛されない」「所詮、私は生きている価値のない人間」。アドバイスした後は抗うつ剤や精神安定剤の処方を。長年通っていたクリニックへの音信も途絶えていました。それが急にクリニックに現れ、先生に冒頭の言葉を◆その患者さんは、若いころ、どの職場でもいじめにあい、解雇、転職を繰り返し、「中学を中退した自分の定めだと思っていた」のです。まだ小さな時に施設に。結婚した夫からの暴力、再婚した夫も病で倒れ介護の末に旅立った。その後は縁者もなく孤独な生活を◆ですが、小学校の時に、担任の先生が誉めてくれたことがあったそうです。「お昼ご飯の後に、『〇〇ちゃん、何か歌って』と私を指名してくれた」。彼女が唯一、人から誉められたのが歌でした◆それを思い出しCDを買い歌いました。近所の人から「地域ののど自慢に出てみたら」と、見知らぬ人もいる前で「ふるさと」などを歌いました。「懐かしい」「綺麗だ」と。「みんな、私の歌で笑顔になり拍手してくれたんです」「そして自分の事を認めてくれたんです」

 それを聞いた先生はこれまで処方した薬の事を思い起こしました。普通に処方している抗うつ剤も量が増えると、副作用として依存症に。「最悪は、統合失調症にもなりかねません」。処方の度に先生の頭には薬の副作用の怖さが常にあったそうです。ですが、この話を聞いて思いました。「患者さんへの寄り添いなどへの“心”が、一番の“薬”の時もある」。患者さんから学んだのです。薬の処方によらず、元気になった彼女の後姿に向かい、「ありがとうございます」と頭を下げたそうです。

 長い前置きになりました。今、コロナ禍が全国的に拡散しています。抗うつ剤の副作用どころではありませんが、初の遺伝子組み換えのコロナワクチンの接種が問題に。接種後の死亡(因果不明と)や数年後の副作用、治験データなどへの疑問が。過去の多々あった薬害訴訟を思うと余計に心が痛むのです◆接種する人もしない人も、この不安がどこかに。その最中、「(デルタ株に)3回目のワクチン接種が必要だ」と厚労省も認めました。何が“デマ”で“真実”なのか・・批判や中傷が飛び交う険悪な空気も・・ふと、「今、いっときでもよいから互いに寄り添い、人を思いやる“心”が必要では」。心療内科の先生と同じように皆さんも心の奥でそう思っているのでは・・

(西村 敏雄)

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2021年9月3日RT(181)
編集部 春風

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