敷居を踏むなかれ

 藤沢周平さんの時代劇で、母親と子供が庄屋さんの家を訪ねた時、子供が玄関の敷居を踏んで入るシーンがありました。その時に「敷居を踏んではいけません」と母親に諭されていた◆そういえば、小さなころに、両親から、「玄関や座敷の敷居は踏むものではない」と言われたことを思い出しました◆それは敷居を踏みつければ、すり減って、戸障子が外れやすくなるからだという。敷居は家の構造上重要な役割があるんですね。礼儀作法、エチケットなどその思いやりが“ここ”にあるのですね。

 また、「敷居が高い」という言葉を使うことも多々あります。が、その意味を誤解して使っているケースが7割近くあるという調査結果がありました。その多くは、「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」という意味で使われていました。さらに、「敷居が高いことをプライドが高いから」と、相手の印象に重ねていたんですね◆本来の意味は真逆。「相手に不義理などをしてしまい、面目たたず行きにくい」という意味です。しばし、考え込んでしまいました◆「敷居が高い」は相手のことではなく、「自分の不義理」が原因だったのです。

 そういえば、国民の範たるべき元首相らは、国会で「虚偽発言」を繰り返し国民の血税を乱費。「不義理」し国会の敷居を泥靴で踏みにじり、立法府の戸障子が外れてしまい、「桜を見る会」も「面目がたたず」中止に追い込まれました◆母親の言葉を改めて思い出します。

(西村敏雄)

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2021年12月25日RT(431)
編集部 春風

編集部 春風

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